発達障害かも⁉子どもが診断されるまでの流れや受けられる支援を徹底解説!

障害児育児のこと

この記事では、

「もしかして、我が子は発達障害かも」

「発達障害であると診断されたらどうなるの?何が変わるの?」

と悩んでいる方に向けて、発達障害の診断までの流れや診断後の支援について解説していきます。

私自身、平成30年生まれの自閉症児の母であり、障害のある子どもたちを支援する児童発達支援事業所で勤務していました。

これらの経験や考えも踏まえながら、分かりやすくお伝えします。

発達障害とは

発達障害とは、生まれつきの特性であり、脳の働きが通常とは異なることから幼児期から行動面や発達面に特徴がある状態です。

これにより、子ども自身は日常生活において困難や生きづらさを感じたり、養育者である多くの親は特有の育てにくさを感じて育児に悩むこともあります。

しかし、本人や家族、学校、職場など周りにいる人がその特性を理解して関わりを工夫・サポートすることで、課題となる困難を軽減させることができるのです。

また、「発達障害」と一言で言っても、種類や特徴は本当にさまざまで全く同じであることはありません。そのような理由からも、「個性」と呼ばれるのかもしれませんね。

発達障害の種類

発達障害には、大きく以下の3つの種類に分けられます。

  • 自閉スペクトラム症(ASD)
  • 注意欠陥・多動性障害(ADHD)
  • 学習障害(LD)

たとえ、同じ障害を持っていても行動や特性などは一人一人違うので、個々に合った対応やサポートが必須となります。

また、それぞれの障害のおおまかな特徴や傾向はあるため、これらを理解・把握することで子どもに寄り添った支援が可能となります。

ここでは、それぞれの特徴をまとめています。これらは決して必ず当てはまるというわけではないので、参考程度にご紹介します。

自閉スペクトラム症(ASD)

どんな障害?コミュニケーションが苦手で、こだわりが強い面もある
特徴は?・感覚の過敏さがある
・自分の気持ちを伝えることや相手の気持ちを読み取ることが難しい
・集団生活が苦手
・目が合わない
・微笑み返さない
・後追いしない
・周りの子に興味関心がない
・一人遊びが多い

注意欠陥・多動性障害(ADHD)

どんな障害?不注意=集中力がない、多動性=落ち着きがない、衝動性=気持ちのままに行動する
特徴は?・じっとしていられない
・かんしゃくが強い
・順番を待てない
・忘れ物が多い
・席を離れる
・しゃべりすぎる
・集中が持続しない
・整理整頓が苦手
・ミスが多い

学習障害(LD)

どんな障害?知的発達には問題ないが、「読む」「書く」「計算する」など特定のことが難しい=就学後に診断されることが多い。ASDやADHDに比べて、気づくことが難しい
特徴は?・通常の授業だけでは理解するのが難しい
・ひらがなを読むの遅く、読み間違いが多い
・文章の内容を理解することが難しい
・バランスよく字を書くことが難しい
・黒板の字をノートに書き写すのに時間がかかる
・数系列の規則性の習得が難しい
・文章題を理解するのが難しい

ここに記載した内容は、あくまでも代表的な特徴です。

これに当てはまるから必ずしもその障害であるということではないので、参考程度にみていただけたらと思います。

診断を受けるメリット

子どもの発達が気になる一方で、検査を受けて診断されるのが怖い…と感じる方も多いのではないでしょうか。

確かに、いざ診断されてしまうと「認めたくない気持ち」と「認めざるを得ない」気持ちが葛藤し、なんだかモヤモヤしたり、一気に将来への不安が押し寄せてきたりと心が落ち着かなくなりますよね。

実際に、私も覚悟して診断結果を聞きにいったのに、結果を聞いて心ここにあらず状態でした。

しかし、診断を受けることで得られるメリットもたくさんあるので、ご紹介します。

子どもの苦手を知り、子どもの「困りごと」を解決できる

発達検査では、具体的な発達障害名だけでなく、運動面や知的面の能力、子どもの得意・不得意などの傾向も知ることができます

子どもの苦手なことが理解できることで、どんな時に困りやすいのか、そんな時はどうやって手助けしていけばよいかという対策が明確に分かるようになります。

一番困っているのは子ども自身であるということを理解できると、自然と子どもに寄り添えるようになるのかもしれませんね。

必要な支援を受けられる

診断を受けることで、利用できる福祉サービスの幅がぐんと広がります

障害は、残念ながら病気とは異なるので、治療したら治るということはありません。

しかし、早期からのリハビリや訓練等を積み重ねていくことで、自分でできることが増え、日常生活での困りごとを減らすことができるのです。

子どもの将来に直結することでもあり、親である私たちの負担を考えても、子どもの発達が気になると感じたら早めに相談へ行くことをおすすめします。

子どもの姿を割り切り、受け入れられる

健常児いわゆる「普通の子」とは違うという違和感を長い間感じながらの育児は、なかなか精神的にもしんどいもの。

「我が子は障害児」という事実を受け止めたくない反面、実際に診断されると意外にも「あぁ、だからか…」と今までの育てにくさや違和感に対して妙に納得できたりするものです。

また、多動であったり、他の子とトラブルになりやすい子の場合、本来障害によるものであるにも関わらず、親のしつけのせいにされてしまうことも少なくありません。

周囲からの心ない言葉によって自分を責めてしまう親にとっては、診断されることで「自分の育て方が原因ではなかった」とホッとできたりもしますよね。


診断を受けるデメリット

診断を受けることで多くのメリットが得られますが、一方でデメリットと感じてしまうこともあります。

子どもの障害を受け入れる必要がある

障害を持つ子どもの親は、必ずこの苦しい時期を経験しなければなりません。

また、障害といっても種類や度合い、歩行未歩行、身辺自立の状況など一人一人異なります。

この事実を受け入れることはとても大きな壁で、受け入れて前向きに進みだした後も気持ちの波は激しく、時に沈んでしまう時期もあります。

そんな時は、目の前の子どもの姿を無理に受け止めようとはせず、素直な気持ちを吐き出しながら自身の時間を大切にして、うまく付き合っていけると良いですよね。

診断される時期によっては、見極めが難しい

これから伸びていくであろう早い段階で診断を受けると、診断自体が不確かになる場合も中にはあります。

例えば、ADHDによる多動性からくる落ち着きのなさは、小さな子どもにはよく見られることでもあります。

また、ASDによる人見知りは、性格的なものである可能性もあります。

このように、あまり早い段階では見極めが難しい場合も多く、経過観察となることもあるのです。

過度な手助けをしてしまいがち

子どもの困りごとを少しでも少なくさせたいという親切心から、子どもが困難やトラブルに合う前にすべて親が対処してしまう場合があります。

一見、子どもを守れているようですが、将来のためには失敗や困難を経験することが重要でもあります。

失敗したときにはどう対処すればよいか、実際の手段や気持ちの面でも学ぶ必要があるのです。

診断は何歳からできる?いつ分かる?

発達障害の診断には、特に定められた年齢はありませんが、一般的には幼児期る2.3歳ごろから受けることができます

先にも述べたように、あまり早い時期だと誤診断となる場合もあるので、個々の発達の具合を見ながら決めていきます。

また、幼児期に限らず、大人になってからでも検査を受けて診断を受けることが可能です。

障害の程度によっては、日常生活をなんとかこなしながら大人になり、結婚後にパートナーにすすめられて検査をしたら、発達障害だとわかったという人も中にはいます。

診断には発達検査が必要

発達検査を受けるには、医師や専門家に相談して検査に至るケースがほとんどです。

では、実際にどんな検査をうけるのでしょうか。

次に、詳しい発達検査の内容をお伝えしていきます。

検査方法は?

ここからは、検査の方法について解説していきます。

一般的には、以下の方法があります。

  • リスニング(聴き取り)
  • 検査
  • 診断

では、順番に見て行きましょう。

リスニング(聴き取り)

検査を受ける前に、事前に保護者から自宅での様子や気になる行動、症状についての聞き取りを行います。

また、そのような行動や症状はどんな時に出やすいのかなど具体的に伝えていきます。

検査

子どもの場合、おもちゃで遊ぶ様子を観察したり臨床心理士とのやりとりをしながら、特性や得意・不得意などを見つけていく場合が多いです。

時に、遊びに検査員が入り、子どもとのやり取りを実際に行ったもします。一般的には、悪1時間くらいの検査を行います。

検査の間、保護者は別室から見学したり、専門家と子どもの様子や日常の困ったことなどについて話す時間となります。

診断

発達検査の結果は、検査から約2週間~1か月後に分かります。

結果とともに、発達障害の診断を受けることが多いです。

我が家の場合は、診断名である「自閉スぺクトラム症」というワードはさらっと伝えられ、「軽度知的障害あり」ということに関してはその後のOT(作業療法)リハビリの計画表への記載で初めて知ったくらいです。口頭で伝えられた記憶はありません。

きっと、医師からしても診断名を伝える際は気をつかって前置きが長くなったのかなと私自身捉えています。

「検査の結果、診断名は〇〇〇〇でした」と分かりやすく単刀直入に伝えてくれた方が分かりやすかったんですが…

診断後に受けられる支援

検査をして発達障害の診断名がつくと、公的な福祉サービスが受けられるようになります。

支援には、大きく以下の2種類に分けられます。

  • 福祉手当・割引サービス
  • 福祉サービスの利用

それぞれ詳しい内容を確認していきましょう。

福祉手当・割引サービス

診断後に手続きをすることで「障がい児福祉手当」などの手当や税金の控除の対象、公共交通機関利用時の割引が適応されることがあります。

これらは、療育手帳の発行やその階級によっても受けられる内容がかわってきます。

また、各自治体によって細かく定められているので、ぜひ一度確認してみてくださいね!

各市役所ホームページから確認することができます。

福祉サービスの利用

福祉サービスには、児童発達支援・放課後等デイサービス・ショートステイ・日中一時支援・移動支援など様々なものがあります。

これらのサービスを利用することで、本人の経験を増やすとともに、保護者の負担軽減や日中の介護疲れ心身を休ませるという目的もあります。

特に、児童発達支援や放課後等デイサービスのような通所事業では、個々に合った訓練や個別課題に取り組むこともできるため、積極的な利用が進められています。


「周りがどう感じるか」より「我が子がどう生きていくか」

我が子が発達障害であるかもしれないと考えると、ふと周りからの視線を気にする方が多いですが、現実的に考えなくてはならないことは、「我が子がどう生きていくか」ということ。

「障害」と聞くと、マイナスなイメージで輝く未来とはかけ離れたような印象を持たれがちですが、そんなことはないと私は思っています。

なぜなら、診断を受けた後も変わらず、子どもは個々のペースではありながらも、成長していく可能性・チャンスを持っているから。

これまで、児童発達支援の分野で200人以上の障害を持った子どもたちと関わってきましたが、どの子もそれぞれのペースでしっかりと成長していく姿を見させていただきました。

障害児、健常児にかかわらず、子どもはいずれ必ず大人になります。それまでにどれだけの経験ができるかがとても重要なのではないかと感じています。

良いことも悪いことも苦しいこともハッピーなことも、すべては「経験」。

少しでもたくさんの経験をさせてあげるのが、親として子どもにしてあげられることなのかなと思いながら、日々私は息子と関わっています。

時には、他の兄弟と同じように本気で叱ったりもしてしまいますが…これも経験と自分自身にも言い聞かせながら、障害児育児がんばってますよー!

毎日毎日何かとバタバタしていますが、そんな中でもほんの一瞬でも「自分の時間」を意識して作ると、今を冷静に客観的に見られることもあります。

なかなかうまくはいかないことも多いですが、ぜひ、5分でもそんなひとときを過ごせると「障害」に対する考え方や見方が少し変わるのかもしれませんね。


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